
ファイアーエムブレムサイファは文字通り「ファイアーエムブレム」を題材とした人気のあるTCGですが、なんと残念ながら2020年10月1日が最終弾となり、サービス終了となってしまいました。
Twitterでは絵の人気があり、公式Twitterによる新カード発表時のRT数もかなりあります。コメントも絵を絶賛するコメントばかりです。とてもではありませんが、サービスが終わるカードゲームだとは思えません。
ではなぜ、ファイアーエムブレムサイファは「終わってしまった」のでしょうか?
目次
中古カードが出回らない
TCGにおいて「中古は悪」とは限らない
サイファをプレイしている層の中には全体的に中古は公式にお金が入らない、というイメージが先行しています。中古市場はたしかに、リサイクルショップなどにお金が入りメーカーにはお金は入りません。
新作ゲームなどが好きで、その商品を応援するのであればゲームを予約し、中古ソフトを売らないでずっと持ってことがゲーム会社に対する最大の応援となります。
……しかし、トレーディングカードはそうはいかないのです。
トレーディングカードはカードショップの運営によって成り立っています。トレーディングカードショップが公式大会を運営するには「ボックスを公式から一定数購入する」ことが条件となっています。
しかしカードショップでボックスを売ることで得られる利益は数百円ほどです。人件費やテナント料などを考えると割にあっていません。ではカードショップはどうやって利益を上げるのでしょうか?
答えは「シングルカード(中古)」で利益を獲得することです。中古カードは利益率が高く、カードショップを運営する上で重要となってきます。大会を開けば、大会で勝ちたくなる人も出てくる。そこで中古カードをシングル購入することでカードショップも利益を生み、カードショップがその部門(今回の場合ファイアーエムブレムサイファ部門)を運営し続けることができるのです。
ところがどっこい……FEサイファの場合
ファイアーエムブレムサイファはボックスどころかカートン購入する人が多い、メーカー視点で見ると客単価が高いカードゲームです。
しかし、残念なことに当てたカードを売る人があまりいません。ファイアーエムブレムサイファのターゲット層は社会人であり、カードを売る時間や手間をかけることができないからです。また、単純にコレクション目的でずっと持っている方もいます。
カードを売却するひとが少なくなるとシングルカードが高騰します。ボックスだけでデッキを組むのが理想ではありますが、実際には色々な箱を複数箱購入しないといけないなど現実的ではありません。
ファイアーエムブレムサイファは人気カードが4000円前後になることも多く、さらにそのカードが複数枚必要なんてこともありますが、高騰の背景にはこのような理由があります。
そもそもデッキを組むことができないので、シングルカードを購入することを諦める人も出てきます。そうすると、ショップはボックス購入ノルマはあれどシングルカードで利益を上げ続けることができないため、カードショップが撤退してしまいます。
トレーディングカードの最大のお客様はカードショップです。サービス終了発表直前には、ファイアーエムブレムサイファの取り扱いをやめる店が続出してしまいました。それもかなりの数です。
シングルカードの流通量が圧倒的に少なく、カードショップでは取り扱い辛かったことがファイアーエムブレムサイファの最大の失敗点だと筆者は考えています。
ネタ切れ
これはサービス開始当時から危惧されていたことです。
例えばソードマスターリョウマが登場したとしたとします。しかし2枚目以降はソードマスターのリョウマを出しても新鮮さがユーザーにとってはあまり感じられなくなってしまいます。
そこでファイアーエムブレムサイファも過去のカードを使えなくする、いわゆる「スタン落ち」を実装しました。そうすることで2枚目のソードマスターのリョウマを出しても意味があるものとなりました。
とはいえ、過去に登場したカードの焼き増しなため、やはり目新しさはなくなってしまいます。
対策として暗夜王国にしか存在しないクラスを使った陰陽師のマークスを出したりしましたが、やはりファイアーエムブレムというキャラクターの数には限りがあるため、ネタには限界があります。
コレクターが1枚しかカードを持たず、カードショップによって不利益
ファイアーエムブレムサイファは、カードを1枚だけ持ってお守り代わりのようにファッションとして持っている人は多かったように思われます。
実質的に、SNSでカードを紹介し、気に入ったカードを1枚だけ集める「イラスト集の1ページ」のような状態にファイアーエムブレムサイファはなってしまったのです。
しかし肝心の「デッキを組み対戦をする」ことをしないため、本来の想定よりもそういった「1枚だけ集めるユーザー」が運営の想定より売上に貢献しなかったのではないでしょうか。
カード1枚、それもノーマルカードを集めるのであれば50円で済みます。安くサイファを楽しむには良いですが、あまりにも安すぎ運営に利益が回らなかったように思われます。
1枚コレクターが少しでも「サイファで対戦」を行うプレイヤーになっていれば、状況は変わったかもしれません。
まとめ 自分が好きなTCGがサービス終了しないために
ここまでのサイファのサービス終了要因をまとめると、「ネタ切れ」以外の要因は他のTCGにも共通することがあるかもしれません。
- プレイヤーがいないためカードショップに通う人も少なかった
- シングルカードを売る人がいないためカードが高騰
- カード単価が高いためデッキを組む人が少なくなる
- シングルカードを売買する人が少ないため、カードショップが撤退する
- カードショップという最大のお客さんを失うため、メーカーが撤退する
これらのことはファイアーエムブレムサイファだけでなく、他のTCGにも当てはまる可能性はあるのではないでしょうか?
今は状況が状況なだけに、カードショップはかなり厳しい状況に立たされています。ですが、例えばカードショップを運営する通販サイトからシングルカードを購入することでカードゲームを応援することもできます。
もちろん、カードショップに足を運び購入することも有効です。
本当に終わってほしくないカードは、カードショップを大事にしカードを売ったり購入したりして応援しましょう!