
皆さん、お久しぶりです、スズタカです。
今回は私が実際に「鮫の領域」ミラーで経験して少し面白いと感じた場面を取り上げ、ケーススタディ要素強めでお送りしていこうと思います。
本記事はデュエルリンクスにおいて、カードゲーム中級者から上級者になる境目あたりにいるプレイヤーの方に向けた、少し応用的な要素の強い記事となっています。
前提として、デュエルリンクスのカード知識をある程度必要とする内容ですが、デュエルリンクスに限らず、カードゲームを始めたものの、伸び悩んでいるな、といった悩みを抱えている方の成長の手助けとなれることを目指したものとなっています。
よければ楽しんでいってください。
それでは参りましょう。
目次
出題編 初手どうする問題
「鮫の領域」デッキのミラーマッチの先攻を想定しましょう。
初手は《深海のディーヴァ》《カッター・シャーク》《海皇の狙撃兵》《サイクロン》の4枚です。
あなたなら、このハンドをもらった場合、どういった盤面を作ってターンを返すことが正着になると考えますか?
そして、その意図はなんですか?
是非、この問題について考えてみてください。
予め述べておきますが、本記事で取り上げるのはこの問題1つであり、おそらく正解が存在しない問題です。
だからこそ、考える価値がある問題だとも考えています。
そのため、一度手を止めて、じっくり考えていただけると、この記事の内容をよりよく味わっていただけるのではないかと考えています。
考えがまとまり次第で構わないので、次の章に移ってください。
この思考時間がこの記事を楽しんでいただくために必要なものとなるでしょう。
以下、補足説明
「鮫の領域」デッキとは、スキル「鮫の領域」を活かした水属性のビートダウンデッキ。
スキル「鮫の領域」
自分フィールド上の全ての水属性モンスターのレベルをターン終了時まで4にする。
このスキルはターン中に1度かつ、デュエル中に2度まで使用できる。
このスキルはデッキ・エクストラデッキのモンスターが水属性モンスターのみのデッキを設定してデュエルを開始した場合のみ使用できる。
《深海のディーヴァ》1枚から《海皇の重装兵》をリクルートし、スキルを経由して、《深淵に潜むもの》を立てることで、フリーチェーンの妨害と墓地地策を兼ね備える動きが特に強力なデッキ。
解答編
いかがだったでしょうか?
皆さんは先の出題編を経てここに辿りついているため、各々がひとまず各自の答えを持った状態と仮定して話を進めます。
《深海のディーヴァ》《カッターシャーク》《海皇の狙撃兵》《サイクロン》の4枚を使ってどう盤面を作るのか。
早速、答え合わせをしましょう。
さて、この問題、パッと見ただけでは、「《深海のディーヴァ》と《カッターシャーク》のどちらを使って展開を行うべきか?」だけに話が集約されそうな気配を出している問題です。
そして、これは、「鮫の領域」デッキの有識者に散々議論されてきた内容でしょう。
しかし、私が今回取り上げたいのは、そういった「鮫の領域」としての先攻の動きの話ではありません。
そのため、ぶっちゃけた話、そのどちらを使って展開を行ったのかにはあまり興味がありません。
何故なら、先の出題編、引いては本記事で私が本当に取り上げたかったものとは、手元に残った《サイクロン》の扱い方についてだからです。
実はこの問題の真の出題意図は、《サイクロン》を伏せるだけでなく、伏せずに手札に温存するという選択肢があることを認知できているか、を問いかけることに他なりません。
さて、ここに至るまでに、《サイクロン》の扱いについて、欠片ほどでも考えを馳せた方はいらっしゃったのでしょうか?
大半の方は、《サイクロン》を伏せることに何の躊躇いもなかったのではないかと思われます。
そして、それこそが「手なり」と言われる悪手に繋がる「思考の罠」とも言えるものであることを本記事では紹介したいと考えています。
以下、本当の考察に移りましょう。
出題の真の意図
先ほども申し上げた通り、今回の出題の意図は、手札に残る《サイクロン》をどう扱うのか、に全てが集約されています。
これは、《サイクロン》を伏せるという行為によって得られるリターンと、伏せないことによって得られるリターンを考えた上で、なお、《サイクロン》をどう扱うのか、という話です。
以下それぞれのメリットを比較してみましょう。
《サイクロン》を伏せた場合のメリット
簡単に考えられるメリットは以下の2点だと考えられます。
- 対戦相手が《サイクロン》を持っていた場合、高確率で1-1交換できる
- 交換されなかった場合にエンドサイクを行える
そして、ここに《深淵に潜むもの》というフリーチェーンのモンスターを設置することで
3.ブラフとして機能し、相手のぶっぱプレイを牽制できる
という役割が付与されます。
このメリットは、果たして、出題の条件において本当に必要なメリットなのかを考えていきたいというわけです。
《サイクロン》を伏せない場合のメリット
では、逆に伏せないメリットは何かと問われると
- 対戦相手の《サイクロン》との交換を拒否できる
シンプルにこれにつきます。
伏せない《サイクロン》が《サイクロン》に交換されることはありえないため、あまりにも当たり前だと思われるかもしれないので少し掘り下げてみましょう。
出題の状況では、こちらに《深海のディーヴァ》以外の防御札がありません。
そのたえ、真面目に《サイクロン》同士の交換を行うと、仮に生きてターンが返ったとしても、対戦相手が妨害を持っていた際に一方的に妨害を受けかねません。
そして、フルモンの手札でその場面を迎えてしまえば、明確な負け筋となりえます。
しかし、1ターン目に《サイクロン》を手札に温存し、素直な交換を拒否することができれば、返しに相手の本命を打ち抜き逆転の目を作ることができます。
更には、本命の打ち抜きに成功すれば、逆に対戦相手の《サイクロン》の役割を消すことができるため、条件次第では高いパフォーマンスを期待できます。
ここまで考え、妨害の少ない微妙なハンドで《サイクロン》を強く扱うという観点で見た際に、私は《サイクロン》を伏せずにターンを返すべきではないかと思考し、実行したことが今回の出題へと繋がりました。
実際の思考の手順と手なりとのズレについて
ここまでの流れで、私は《サイクロン》を伏せないことを軸にゲームプランを立てることを決めました。
そして、その上で最も状況に適したゲームプランは何になるのかを改めて考え直してから、展開を始めることとなりました。
実際の思考の手順は「《サイクロン》の取り扱い方法の決定」→「初動の選定」であったと言えます。
つまり、今回の出題では、
「《深海のディーヴァ》と《カッターシャーク》のどちらを使って展開を行うべきか?」
という目に見えやすい問題に取り組むその前に、既に大きくゲームの勝敗を揺るがしかねない選択を行う機会があったといえるわけです。
そして、手なりでゲームをプレイしていると、こういった細かい選択肢に気付くことすらできずにゲームの勝敗が決まってしまう可能性があるわけです。
これこそが、本記事において本当に伝えたかったことなのです。
何を展開したのかには興味がないと言い切ってしまったのも、それが今回の主題ではなかったからである、とここまで読んでくださった方なら、既にご理解してくださっていると考えています。
手なりをやめるために
ここまで、手なりプレイで勝機を逃すかもしれない、という話をしたわけですが、これを改善するにはどうすればいいのでしょうか?
答えは、非常にシンプルかつ難しいことですが、
- 自分のプレイに自身の意思を反映させること
これに尽きるといえるでしょう。
私は、カードゲームはその場の閃きよりもそれまでの積み重ねの方が重要なゲームだと考えています。
そして、勝負所を決めるカギは常日頃、日常の中にある、違和感をどれだけ見つけ出し、適切に解読する練習を積んでいるかにかかっていると言えるのではないかと考えています。
つまり、普段のプレイ、練習の中で当たり前だと感じられるようなことすらも改めて疑ってかかり、そのプレイが正しいのか、を確認する必要があると考えます。
そして、自身のプレイの全てに意思を持ったプレイを行うことができれば、1段階上のプレイヤーになれるのではないかと考えています。
愚直であることとその成果
定期的に言っていますが、私は非常にアドリブが弱く、実戦でミスをしがちな人間です。
私をよく知る人間は、私のことを決してプレイングが上手いプレイヤーだとは言わないでしょう。
そして、私もまたそれを自覚しており、だからこそ、反復練習と基礎練習を重視しています。
そのため、私のプレイスタイルは、非常に凡人向けであると言えるでしょう。
そして、その研究と反復練習だけでも世界ベスト8に入れた、ということは、私の1つの誇りでもあります。
愚直な方針ではありますが、より良く極めることができれば、私より上手く上達できる方も多くいるはずです。
小さいことからコツコツと、まずはカードの伏せる、伏せない、使う、使わない、から始めて、次第に広い範囲に応用していけば、自然とミスは減っていくでしょう。
さいごに
冒頭の問題についての私の答えを置いておきます。
私は、ターンが返ってきた際のリターンを重視したプランを選択したため、《カッターシャーク》からの《バハムートシャーク》による2面展開で、延命を最優先するプランを取りました。
もちろん、《サイクロン》は伏せていません。
これは、手札の《深海のディーヴァ》が浮くというリスクの代わりに、後手1ターン目の《月の書》などを絡めたワンキルを可能な限りケアして動いてゲームを作っていこうと考えての展開でした。
実際にそのゲームは数ターン後に敗北しましたが、その試合で重要だったのは、ゲームの勝敗ではなく、そのゲームにいかに取り組んだのか、であったと考えているため、その観点では悪いゲームではなかったと考えています。
「鮫の領域」ミラーマッチは引くものを引いた方が強いメンコ要素の強いゲームと言われますが、案外細かいところもあるものだな、と思わされた試合でした。
このように、目先の勝敗にこだわらないのも上達の重要な1要素であると考えます。
ひとまずは、最終的に勝てるようになることを目指し、日々練習を積んでいきたいと考えています。
とはいえ、実際にどうするのが正着であったのかは未だに分からないままなので、良ければ有識者の方、教えてくださると助かります。
それでは、今回はこのあたりで記事を終えたいと思います。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
何か質問等ありましたら、Twitterや質問箱に入れてくれれば答えていきたいと思います。
また、面白かったら、拡散していただくと喜びます。
それでは皆さん、またお会いしましょう。