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前回の記事までは環境把握をまとめましたが、今回からは当日持ち込みしたデッキの解説と、当日の試合レポートをお送りしていこうと思います。
たぶん、大半の方はこちらが本命でしょう。

デッキ選択の経緯(という名前の言いわけ)

既にご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、私が日本選手権に持ち込んだのは今や環境デッキのTier4ほどの扱いを受けている中堅デッキ「転生炎獣」です。

前回挙げてたデッキとは全然違うやんけえ~、情報操作か?と言われるかもしれませんが、これは、深い理由はなく、好きなデッキで出たいな~というふんわりした希望でデッキを決めたとしか言えません

というのも、コロナ禍でオフラインイベントがなくなったことで、紙の遊戯王をプレイする機会が失われ、この2年ほどは殆どイベントにも参加できていなかったことが紙のプレイへのモチベーションの低下を招いていたことがふわふわさの原因です。

そんな折、突如として「日本選手権」「YUDT」という二つの公式イベントの開催が発表され、実際に抽選に通ったことにより、重い腰を上げることとなったわけですから、準備もままなりません。

大会2週間前に当落発表が行われたことから、普段プレイ機会のなかった自分にとっては、2週間ですべてを仕上げることを要求されるに等しく、モチベも不安定でした。

そのため、当選が確定したならば、その時点の手持ちデッキで1番楽しそうなデッキを使おうと決意していたことから、一番好きなデッキである「転生炎獣」を選択するに至ることとなりました。

現在は、規制緩和も相まって会場の確保も徐々に可能となってきており、そんな中、地域の有志プレイヤーの方々が運営となってCSが開催されるようになってきたことで、現在住んでいる北陸地域にも競技文化が復活しつつあります。
これは非常にありがたいことであり、運営の皆さんには頭が上がりません。
非常に感謝しております。

当日の使用デッキ

 

当日、会場に持ち込んだのは画像の71枚です。

以下、簡潔にデッキ構築の際に意識したポイントをまとめていきます。

コンセプトは原点回帰

今回、デッキを組むにあたって最初に意識したことは、全盛期の「転生炎獣」デッキを現代風にアレンジしてみよう、ということでした。

これは、大量の手札誘発や汎用枠で相手の動きを弱めた上で、細い初動から始まる展開によってリソース差を広げ、リソース勝負を制する、というコンセプトを元にデッキ構築を行おうという意思の表れです。

実際、過去に「転生炎獣」がトップメタだった頃は、展開デッキ「オルフェゴール」の対抗馬としての側面が強く、「バルディッシュ」を経由した展開も誘発の重ね撃ちで動きを弱めつつ「霧剣」2枚程度であれば、ギミックを回して超えながら勝利を目指すことができました。
「バルディッシュ」+αの展開を持つ「幻影騎士団」デッキにも同様のアプローチ可能ではないか、と考え、現在の環境で原点回帰を意識したリストを作成しました。

「レディ・デバッガー」と「フレイムバッファロー」の比較

今回のデッキコンセプトが「手札誘発で対戦相手の展開を弱め、リソース勝負を制する」というものであるため、少ない枚数から強い動きを作ることができるという理由で「フレイムバッファロー」ではなく、「レディ・デバッガー」を採用しました。

「フレイムバッファロー」を採用すれば、ギミックを太く強く回していけることから、対戦相手からの妨害に強くなれるというメリットを持っていますが、その分、コンボを要求する分、「フレイムバッファロー」を含む2~3枚のカードが必要となります。

これは手札誘発を大量に扱う構築指針に無用な噛み合い要求をするため、事故を誘発させかねません。
「フレイムバッファロー」を扱うならばそもそものコンセプトが別物のデッキとして構築をするべきでしょう。

今期は、各デッキの展開力が非常に強いため、完成してしまった対戦相手の盤面を特定カードを引き込んで捲る、という方針が通用しにくい以上、初手の見せ合いで勝敗が付きかねません。
「フレイムバッファロー」は後手から特定カードを引き込んで捲れない環境では使用するべきではない、という考えから、「レディ・デバッガー」を優先した構築を行いました。

トップメタへの「エフェクト・ヴェーラー」系の手札誘発の効きが薄いことから、環境内にそれらのカードの採用率が低く、先手の「レディ・デバッガー」の通りが良かったことも加点要素となりました。

「デスフェニ」ギミックの採用

現在の「転生炎獣」デッキは「転生炎獣ガゼル」が制限カードとなっているため、完全に全盛期の力を取り戻しているわけではありません。
特に初動がどうしても細くなりがちなことは改善するべき問題でした。

しかしながら、現在の「転生炎獣」はネガティブなポイントだけではなく、当時には持たなかった「レディ・デバッガー」1枚から始まる、「アップデートジャマー」を組み込んだ「アクセスコード・トーカー」による4300×2回攻撃の一撃必殺ルートを保有しており、状況次第でリソース勝負とワンショットの2つのプランを使い分けられる利点を持っています。

 

そのため、不足分の初動さえ確保できれば問題なく運用可能であると考え、「フュージョン・デスティニー」、及び「アナコンダ」からの「デストロイフェニックスガイ」の採用で初動不足を補うこととしました。

これにより、強初動の枚数自体は、全盛期の「レディ・デバッガー」3枚、「転生炎獣ガゼル」3枚「転生炎獣の炎陣」3枚の計9枚+αの枚数にも見劣りしない十分な枚数を確保することができました。

対応力という面では、「転生炎獣スピニー」や「転生炎獣Jジャガー」1枚から「アナコンダ」が成立するため、最低限の強さはむしろ今のほうが強いと言って差し支えないでしょう。

「デスフェニ」ギミックの採用によってメインギミックを切り詰めることができたたため、対策を積み増すスロットを確保できたり、「原子生命態ニビル」への耐性を追加で獲得したりできたので強力な助っ人でした。

大量の手札誘発の採用

今回は、「増殖するG」×3、「灰流うらら」×2、「原子生命態ニビル」×2、「無限泡影」×3の11枚をメインデッキから採用しています。

「ニビル」は先手の補強として特に素晴らしく、Gツッパへのお仕置き枠でもあり、一発勝負のブロック予選を意識した採用となっています。
基本的にはメインデッキに複数取りたいカードではありませんが、最低限のリターンはあると見ていました。

「無限泡影」は単体運用ではなく重ね打ち前提のカードとなりますが、好きな妨害を1か所消せるため、後手時に自身の噛み合い要求を下げ捲りやすくすることを意識しての採用です。

「幻影」側が、サイド後に「ロンギヌス」「ニビル」をケアしてアナコンダ展開を行った際には単体でも活躍を見込むことができるため、誘発の枚数を盛るサイド後も優秀なカードになりうると考えていました。

サイドデッキの「ファンタズメイ」との噛み合いを考えると「エフェクト・ヴェーラー」と散らした採用を行った方がよかったのではないかとも考えましたが、「墓穴の指名者」に対応されない「無限泡影」での統一を最終的には選択しました。

罠の採用‐先攻を重視した構築を行う

基本的に現在の「遊戯王」は、先攻が非常に優位になりやすいゲームであるため、先攻を取得した際にそれがマッチの勝利に結びつけやすいように先攻時のパワーを意識して構築を行います。

これは、このデッキでも例外ではありませんが、特に今期は「アラメシアの儀」による強力な後手まくりが存在するため、先攻展開を行った後、「勇者」ギミックで盤面が崩壊するようなゲームプランでは意味がないわけです。

「転生炎獣」デッキ内のギミックを回して「勇者」ギミックへの対抗策を一通り練りましたが、ギミック内でやれることは精々、「サラマングレイト・レイジ」「サラマングレイト・ロアー」を成立させることくらいであり、「転生炎獣」のギミック内で行える対策には限りがありました。

しかも、それらの獲得、運用を目指す展開プランは対戦相手からの「増殖するG」「原子生命態ニビル」の直撃ルートに飛び込んでいくことになるため、各種「指名者」シリーズや「灰流うらら」などのサポートなしでは、ハイリスクな行為な割に、得られるものが1妨害とローリターンです。

そのため、これらの罠を積極的に構えるのは、手札内に「転生炎獣」ギミックが3枚以上集まってしまったときに行うものとし、素引きのカードで足りない分をバックアップしていくプランを選択しました。

そのため、足りない妨害枠を補うためにメインデッキから「王宮の勅命」と2枚の「神の警告」が採用されています。

「王宮の勅命」「神の警告」ともに先手で扱いやすい罠カードであり、「アラメシアの儀」「フュージョン・デスティニー」による環境の対策候補を無理なく対策することができます。

「神の宣告」ではない理由はライフで受ける立ち回りがある「転生炎獣」では「アナコンダ」のライフ支払いも含めると払えるライフに余裕がないことと、仮想敵が上記カード群であることから初動で置く前提なら支払いが安い「警告」に分があると考えてのことです。

 

環境デッキから1段階以上劣るデッキを無理やり持ち込む以上、構築段階から何らかの形でリスクを負わなければなりません。
この点において、私は先攻重視の罠の採択、手札誘発の大量採用を行い、これらの条件を最低限クリアできたと考えています。

とはいえ、罠カードがそこまで多くはないため、実際に先攻を取れた際に、罠カードが上手く引けず、妨害が想定通りに成立しない可能性もありましたが、その展開強度のムラの発生もデッキ選択時のリスクと考え割り切りました。

相手が「勇者」ギミック、「デスフェニ」ギミックをちゃんと運用してこないことを祈りましょう。
所詮は一発勝負のトーナメント戦です。
備えすぎないくらいの気軽さで行こうと決めました。

サイドプラン

基本的には見たまんまです。

先手は弱い誘発を「魔封じの芳香」に置き換え、相手次第ではさらに追加で各種手札誘発を入れ替えます。

後手時は罠カードとその他不要牌を抜き、手札誘発その他を入れましょう。

特に難しい部分はありません。

強いて言うなら、「魔封じの芳香」による魔法カード対策プランをメインとして運用する以上、それと並べた際に「ツインツイスター」に抜かれる可能性のある罠カードは極力採用したくはないことから、可能なら手札誘発での盤面補強を目指しました。
「ツインツイスター」への耐性という観点は、メインデッキの罠カードの枚数を必要以上に増やさなかった理由でもあります。

そして、この観点で「転生炎獣」の「原子生命態ニビル」は「ツインツイスター」に破壊されずギミックと親和性のある強力な先手カードでした。
デッキを扱う意義の1つであったといえます

当日レポート

1回戦 不戦勝

日頃の行いがよかったためか、会場内唯一の不戦勝を獲得。

観戦禁止であるため、会場の隅で待機。

2回戦 エルドリッチ 〇ET〇

1本目
じゃんけんに負けて後手スタート。
相手は5伏せと順調な立ち上がりを見せ、こちらも素引き「フュージョン・デスティニー」からゲームを始めるも「強制脱出装置」+「スキルドレイン」のコンボで「デストロイ・フェニックスガイ」があっさり退場。

その後は、メインギミックである「転生炎獣」ギミックでの突破を図るも「センサー万別」まで通ってしまい、流石に敗色濃厚

 

 

 

…だったはずが、対戦相手が「黄金郷のワッケーロ」をデッキに入れていなかったのか、存在を忘れていたのかはわからないものの、とにかく「ワッケーロ」が構えられないままにゲームが進行

その間に「転生炎獣フォクシー」がフィールドと墓地を4往復して「センサー万別」と3枚の「スキルドレイン」を破壊し、「アクセスコードトーカー」が通ってなぜか勝利。

 

2本目

1本目が非常に長かったため、対戦相手の先攻が始まったタイミングでET突入。

初手を確認したところ

「増殖するG」×2、「抹殺の指名者」×2、「転生炎獣の聖域」といった内容で、サイドチェンジで抜ききれなかったデッキの不要牌の大半が初手に集まるという最悪の滑り出し。

更には初動の「金満で謙虚な壺」から「スキルドレイン」を取られてしまい、4伏せでターンが返される。
こうなると、真っ向勝負が非常に厳しい展開になったため、攻めるしかない。

トップデッキは「転生炎獣スピニー」。

見えている「スキルドレイン」に突っ込むわけにはいかないため、「アナコンダ」プランは選択できず「転生炎獣サンライトウルフ」を立ててライフレースに持ち込む。

流石に「紅き血染めのエリドリクシル」などでダメージは通らないだろう、と予想していたものの、それらがなく、素直に1800打点が通ってしまい、返しに対戦相手が「黄金卿エルドリッチ」にアクセスできないままライフ差によりゲームが終了

なんだかわからんがとにかくヨシ。

決勝 幻影騎士団 ×〇×

1本目。
じゃんけんに負けて後攻。
手札誘発は「無限泡影」1枚のみ。

当然止められるわけもなく瞬殺。
これはもう割り切り。

 

2本目。
もちろん先攻選択。

初手は「転生炎獣スピニー」「転生炎獣の炎陣」「魔封じの芳香」「増殖するG」「灰流うらら」
「増殖するG」のケアは考える必要がないため、「原子生命態ニビル」の直撃を避けることを意識して展開をスタート。

「炎陣」から「ガゼル」をサーチして、「ガゼル」+「スピニー」展開。
「ガゼル」からは「Jジャガー」を落とし、「ニビル」ケアの最速「ガゼル」回収展開で無事に「ガゼル」を回収。

その後、ボードに残った「サンライトウルフ」を「聖域」効果で転生リンク召喚して「ニビル」の有無を確認してから「炎陣」の回収。
そして、残った「Jジャガー」と墓地から蘇生した「スピニー」で「アナコンダ」からの「デスフェニ」を出して展開を終了。

 

完成盤面は

転生「サンライトウルフ」+「アナコンダ」+「デスフェニ」+「魔封じの芳香」+「炎陣」

手札に「ガゼル」「増殖するG」「灰流うらら」

となり、魔法カード対策と「ツインツイスター」に耐性を備えた理想的なサイドプランを完遂します。

対する相手はスタンバイフェイズの「魔封じの芳香」に対して迷わず「レッドリブート」の発動。
効果処理で「サラマングレイト・レイジ」をセット。

相手の初動の「アラメシアの儀」に「増殖するG」を合わせると、対戦相手が少考の末、チェーンなし宣言で効果が成立
この時点で「レッドリブート」によるライフコスト及び「増殖するG」の成立で、このターン内に決着がつくかがゲームの争点となる。

 

「運命の旅路」にデスフェニを当て、その後に始まった「幻影騎士団」ギミックによる展開をしばらく閲覧。
増え続ける手札。

デッキを10枚ほど引いた段階で目当てとなる「原子生命態ニビル」を引き込むことに成功し、そのまま発動を考えるも、すんでのところで、対戦相手の「G」への少考、及びその後の強引なGツッパから、なんらかの対策枠を保有している可能性を考慮
対策筆頭候補の「抹殺の指名者」の存在に思い至り、「アーティファクト・ロンギヌス」の到着を待つことに

そして数ドロー後に無事「ロンギヌス」も掘り当て、「二ビル」をプレイすると、そこに差し出されたのは予想通りの「抹殺の指名者」。
それを「ロンギヌス」で弾き返して、誘発を投げ合う空中戦に勝利。

 

「二ビル」処理後に対戦相手が残り1枚のハンドからプレイしてきたのは「フュージョン・デスティニー」。
しかし、ここには初手から温存していた「灰流うらら」を当てると、相手側の打つ手がなくなり投了。

 

3本目

「増殖するG」「灰流うらら」「ロンギヌス」「無限泡影」「転生炎獣ファルコ」と4枚の手札誘発はあるも初動のない微妙なハンド。

しかも、対戦相手は「アラメシアの儀」による最悪のスタート。
ここに「増殖するG」をプレイするも、効果の適用後、「グリフォンライダー」を加えられて止まられた上に、2伏せで返されてしまい、手札誘発軍団が完全に浮いてしまう格好に。

「G」の1ドロー、およびトップドローでも展開が行えるハンドにならず、そのまま「グリフォンライダー」と「勇者トークン」を軸にしたビートダウンによって手札誘発が機能せずゲームに敗北となりました。

試合後に伏せを見せてもらうと「アーティファクトの神智」と「幻影霧剣」だったため、初動があっても問題なく負けている状態でした。
ここにきて横綱相撲をされてしまったな、という感想となりました。

終わってみての感想

大会前から想定してはいたことでしたが、「転生炎獣」デッキにとって「アラメシアの儀」をはじめとする「勇者」ギミックが一生重かったな、という印象です。

特に決勝戦の「幻影」はすさまじい対応力があり、2本目も「ニビル」を触れなければそもそも「ヴァレルソード・ドラゴン」でワンキルされていたことなどを加味すると、常に対戦相手の方が2段階ほどデッキパワーが上だな、と感じさせられる結果となりました。

竹槍でミサイルに立ち向かっているような気分だったので、そういった気分を味わいたい方などにはおススメのデッキになるかもしれません。

とはいえ、トップメタの「幻影騎士団」に関しては、「当たったら勝てないだろう」くらいの気持ちでいたため、順当な結果になってしまったな、といった感想でもあり、それ以外には強い苦手意識もなかったため、個人的には結構楽しいデッキ選択になれました。

また、今回のデッキの構築指針自体は来期以降も流用可能なものとなったため、全体的に有意義な大会ではありました。

負け惜しみのようにはなってしまいますが、モチベ低下から、全然練習しておらず、本気で勝ちにいっているプレイヤーでもなかった今回の自分が、トップメタに順当に破壊されたのはある意味良い結果になったと考えています。

負けるべくして負けてしまったため、次回以降勝ちを目指したい時にはこの悔しさを忘れず練習していこうと思えました。

実際、日本選手権後にOCGモチベが少しずつ戻ってきているため、悪くはない兆候だなと考えています。
今後のフィールドが「マスターデュエル」になるのか、「OCG」になるのか、「デュエルリンクス」になるのかはわかりませんが、何らかの形で遊戯王関連の競技プレイに取り組んでいこうと思います。

それでは、みなさん、またお会いしましょう。

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