【遊戯王OCG】「勇者ギミック」採用「転生炎獣」デッキ調整記
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今回は、私が前期の間に使用していた「勇者」ギミック採用の「転生炎獣」デッキの解説を行っていきます。

新しいリミットレギュレーションの発表により、来期も同じ構築を行うことはできませんが、構築の際の思考や、反省点を軽くまとめて、来期以降に活かしていくための備忘録としての性質が強い記事となっています。

それでは参りましょう。

デッキリスト

こちらは、新制限が始まって最速のCSに持ち込んだ構築になります。

結果はCSが2-2予選落ち、サブトーナメントが3-1と微妙な成績に。

環境初期ということもあり、大雑把なところもありますが、欠点も見えやすく良いサンプルだったため、この結果を元に解説と反省を行っていきたいと思います。

デッキ選択と構築の指針

デッキ選択の理由

前回のリミットレギュレーションが発表されたことにより、圧倒的TierSSSSグリッドマンデッキだった「幻影勇者」が解体され、多くのデッキが日の目を浴び(るかと思われ)ました。

私もその他大勢のプレイヤーに漏れず、次の環境の研究を始めました。

大会環境で勝つためには私情を捨てた適切なデッキ選択、持ち込みが不可欠である一方、好きなデッキを持ち込んで結果を出したいと考えるのもプレイヤーの性です。

環境初期の大会は、メタも固まっていないため、特定デッキへのメタ性能よりも地力が高いデッキを持ち込むのが理想的だと考えています。

この際、慣れているデッキを持ち込むことができれば、短い調整期間でも、デッキリストを完成させやすく、プレイミスが発生しにくい点は魅力的です。

目当ての大会が、リミット発表から1週間後の開催と期間が短かったこともあり、様々な理由から「転生炎獣」デッキの持ち込みを決めました。

環境予想とデッキコンセプト

持ち込みデッキを「転生炎獣」に決めたため、次はデッキのゲームプランを決めることとしました。

「転生炎獣」は基本的には自身の強みを押し付ける、というよりは「受け」の性質が強くなりがちなデッキであるため、環境毎に適切なプランでの持ち込みが必要です。

しかし、今回は明確な押し付けの要素がありました。

それは、《No.41 泥睡魔獣バグースカ》の存在です。

CSに参加するにあたって仮想敵としたデッキは

「勇者デスピア」「天威勇者」が2トップ、そして、その下に「LL鉄獣」「相剣」「エルドリッチ」「ふわんだりぃず」といったラインナップだと予想していました。

そして、これらのデッキの内、「天威勇者」以外のデッキには、《No.41 泥睡魔獣バグースカ》が非常に重く刺さります

環境初期の雑多なメタゲームでは、尖ったサイドカードは採用されづらく、後手捲りの基本はサイドに3投された《ライトニング・ストーム》に委ねられがちです。

しかしながら《No.41 泥睡魔獣バグースカ》は守備表示で設置されるため、サイド後の《ライトニング・ストーム》に無理なく耐性を備えています。

そのため、対策を行うには「壊獣」《禁じられた一滴》のようなカードが必要となりますが、前述の通り、環境初期は受けの広いカードが採用されがちなため、それらの採用率は高くないと想定していました。

このように、メインデッキ、サイドデッキ共に《No.41 泥睡魔獣バグースカ》の通りがよく、設置で勝ちまで持っていけるポテンシャルがあると判断したため、《No.41 泥睡魔獣バグースカ》の成立と維持をゲームプランの軸に据えることを決めました。

サブプランの選定

メインプランを「《No.41 泥睡魔獣バグースカ》の成立と維持」と決めたため、デッキ全体の構築をそこに寄せる必要性が生じました。

ここからはサブプランの選定です。

初動の選定

「転生炎獣」デッキを組むにあたって、《レディ・デバッガー》《フレイム・バッファロー》のどちらを軸に構築を行うかは常に悩ましい問題です。

しかし、今回はランク4成立を目指す、という明確な指針が存在するため、デッキ全体でランク4成立を狙いやすい《フレイム・バッファロー》を軸にデッキ構築を行うことを決めました。

勇者ギミックの採用

《フレイム・バッファロー》の採用は、ランク4成立率の上昇だけでなく追加の利点も持っていました。

それは、「勇者」ギミック一式を採用できるようになることでした。

 

 

「転生炎獣」デッキで召喚権を使うカードは《転生炎獣ガゼル》《転生炎獣フォクシー》《レディ・デバッガー》の3種類だけですが、基本的には前者2枚が召喚権効果を使う機会は多くありません(※)

 

補足説明
前者2枚が召喚権効果を使う機会は多くありません。(※)

《転生炎獣ガゼル》が召喚権効果を使うとあらゆる誘発に弱くなるため、基本的に行いたくない行動です。

また、《転生炎獣フォクシー》の召喚時効果は何もヒットしない前提でプレイを進めるべきであるため、こちらも召喚時効果を使う機会はあまり多くはありません。

《フレイム・バッファロー》採用軸に限らず、《転生炎獣フォクシー》は墓地効果を利用することが多いですが、展開の爆発力を支えますが、この際も当然ですが召喚時効果を使う機会はありません。

これらのことから、《レディ・デバッガー》以外のカードは基本的には召喚時効果としてカウントする運用をせず、その前提でなら「勇者」ギミックは無理なく共存すると言えます。

そのため、《レディ・デバッガー》を外した構築を行う事ができれば「勇者ギミック」を無理なくデッキ内に取り込むことができます

《烙印融合》と《アラメシアの儀》は環境屈指のパワーカードであるのは自明であったため、これら2種の内、片方を取り込めるならば是非取り込みたいという考えであったことから、《フレイム・バッファロー》採用は環境的にも良い選択だったと言えるでしょう。

《フレイム・バッファロー》軸の弱点として、どうしても《フレイム・バッファロー》及び《デコード・トーカー・ヒートソウル》のドローによってゲーム運びにムラが出てしまいがちな点があります。

ですが、《アラメシアの儀》は上からドローした際のボーナスカードとして非常に強力なカードであり、《No.41 泥睡魔獣バグースカ》が成立しなかった妥協展開の終着点に添え、誘発などを交えたミッドレンジゲームを行う際に強力です。

また、後手からの仕掛けに難がある「転生炎獣」デッキにおいて、後手捲りを強力にサポートしてくれる「勇者」ギミックは強力な助っ人でした。

これらのことから、《フレイム・バッファロー》と「勇者」ギミックの採用を決め、更にランク4成立率を上げるために《パラレルエクシード》を採用し、デッキを完成させることとしました。

デッキリスト再掲

構築指針を一通り語り終えたので、今一度デッキリストを眺めてもらえらば、また違った感想があるかもしれないので比較用に置いておきます。

デッキの反省点と改善点

ここからは、反省点と改善点のコーナーになります。

大前提として、このデッキは明確な失敗作でした。

100点満点中の評価でいうと、およそ50点くらいの評価です。

以下、反省点と改善点を並べていきます。

勇者ギミックに弱すぎた

環境に持ち込むにあたって《アラメシアの儀》に弱いという弱点は本来持っていてはいけない弱点です。

しかしながら、《アラメシアの儀》に強いデッキなんてないから、なんとかなるだろ~、という気軽さで持ち込みを行いました。

実際のところ、なんともなりませんでした。

《アラメシアの儀》に対応できるのかどうかと、全く対応できないかどうかには天と地ほどの差があり、現実的な範囲でギミックで《アラメシアの儀》への対抗策を備えることができませんでした。

もちろん、《アラメシアの儀》を想定して、基本展開は《No.41 泥睡魔獣バグースカ》+《サラマングレイト・ロアー》を構えることとしていましたが、相手からの妨害を受けてどちらかが欠けてしまうだけで負け筋となります。

対戦相手が挨拶感覚で繰り出してくるカードがあまりにも重いという性質は、到底許容できるものではありませんでした。

《氷剣竜ミラジェイド》が重かった

《アラメシアの儀》と並んで《氷剣竜ミラジェイド》はデッキの天敵でした。

対戦相手がまともな人間ならば《氷剣竜ミラジェイド》を擦られるだけで自動的に負けます。

そして、《氷剣竜ミラジェイド》の成立を妨害できる確率はそこまで高くはないのでトータルでは負け越すのは自明でした。

トップメタに不利なのはどう考えても良いことではありませんでした。

「勇者デスピア」の下位互換だった

最も致命的な要素でした。

「勇者」採用の「転生炎獣」と「デスピア」を比較した時、同じく「勇者」ギミックを扱うミッドレンジ軸のデッキとしての質が、あまりにも違い過ぎました

《転生炎獣の炎陣》よりも《烙印融合》を発動した方が強いのは当たり前のことですし、その評価を覆せるだけの別軸の評価点は「転生炎獣」デッキには殆ど存在しませんでした。

辛うじて《No.41 泥睡魔獣バグースカ》の存在は「転生炎獣」デッキが環境に対して持つ、ほぼ唯一の差別点でしたが、これも前述の通り《アラメシアの儀》に弱すぎました。

とはいえ、これらの評価は「転生炎獣」デッキだけの問題点だけではなく、この時期に存在したミッドレンジデッキ全般が抱えていた問題であったため、環境的に仕方のない部分だったと考えています。

こちらが《増殖するG》をプレイされた際に、2ドローを与えて泣きながら《転生炎獣ファルコ》で《転生炎獣ガゼル》を回収している傍ら、対戦相手は2ドローでもリソース大量の《氷剣竜ミラジェイド》を繰り出せるのです。

冷静に同じことをして勝てるわけがなかったのです。

デッキ枚数が40枚でなかった

ここまでは環境要因の反省でしたが、こちらは明確に構築の問題です。

私は基本的にはデッキ枚数にこだわりはありません。

デッキが安定して回り、必要なカードが理論的に最適に取られているのであれば数枚のオーバーは問題ないと考えています。

そういう意味では、むしろ、普段はデッキ枚数を41枚に調整することの方が多いです。

これは、特定カード1枚を抜いた40枚と、プラスアルファで差し込んだ1枚がどれほどそれぞれデッキに影響を与えるか鑑みた結果、1枚を増やした方が対応力の増加や上振れを狙えることが多いと考えているからです。

41枚目の《虚無空間》《王宮の勅命》あたりは正に分かりやすい上振れ要因です。

しかし、今回はそういうわけにはいきませんでした。

というのも、回り出すまでの確率は42枚の構築でも問題なかったものの、回った後の問題を解決できていなかったからです。

ここに関しては補足説明を行います。

回るまでと回った後の話

《フレイム・バッファロー》軸の「転生炎獣」デッキは、回るまでと回った後、それぞれに課題を抱えているデッキであることに、当日まで気付くことができませんでした。

これがどういうことかというと、デッキの展開成功のパターンが2つあることが最大の原因です。

1つ目は当初の予定通り、デッキが回り切って《No.41 泥睡魔獣バグースカ》+αまでを構えられる展開です。

こちらは成立がそのまま勝利に直結するため、デッキ枚数の話はあまり問題ではありません。

 

問題なのは、これらの最強展開を行えない《デコード・トーカー・ヒートソウル》を軸としたアドバンテージ重視のミッドレンジゲームを行う際のことです。

私の考えでは、先手なら《フレイム・バッファロー》を含む4枚のドローがあれば、最高展開でなくともアドバンテージ差で問題なくゲームに勝てるし、サイドカードも引き込めるので崩しのプランとして十分なものだと認識していました。

しかし、これは必要なカードをちゃんと引けている場合に限った話であるという前提が抜け落ちています

実際は4枚のドローをもってしてもギミックカードしか引けない、必要なカードが揃わない、ということは起こりましたし、ドロー1枚分の差でゲームが壊れてしまった試合もありました。

つまり、カードを4枚ドローすることは終着点ではなく、カードを4枚引いた上で、それらを用いて勝てるデッキ構築を行わなければならなかったという事です。

カードゲームなので運が絡むのは当たり前ですが、デッキ内で環境デッキ(というか《アラメシアの儀》)に対応できる要素が限られている以上、それらを触る確率を少しでも底上げするべく、メインデッキを40枚に抑える努力をするべきでした。

また、同様の観点から、サイドデッキの《魔封じの芳香》はどう考えても2枚以上の採用が必須であったと言えます。

全体的に札の採用や枚数調整など、練り込みの足りてないデッキでしたが、デッキ枚数に関しては特に反省点の大きい課題となりました。

今後、ランダムドローをプランに組み込むデッキを扱う際には、この考えは流用しやすいと考えているため、戒めも込めてここに書き記しておきます。

デッキの総評と来期の展望

ここまで、「勇者」ギミック採用の「転生炎獣」デッキの解説、及び反省点を述べてきました。

なんやかんやと失敗談を述べてきましたが、デッキ枚数と細かい札調整以外の面に関して言えば、全体的に納得のいく出であり、環境要因さえなければ、80~90点くらいは取れるグッドデッキであったことは間違いないでしょう。

《アラメシアの儀》と《No.41 泥睡魔獣バグースカ》がとにかく強く、過去一番くらいの手ごたえは感じるデッキでした。

とはいえ、あまりにも《アラメシアの儀》及び《氷剣竜ミラジェイド》が重すぎたため、「勇者」ギミックありきのデッキ構築にも関わらず、それらの存在がネックという非常に厳しい状態でした。

あまりにも雑に強い

来期以降は、最大のメリットであり、ネックであった《アラメシアの儀》の枚数が減ることで、今期よりは相対的にやりやすくなるのではないかと期待しています。

とはいえ、「デスピア」「天威勇者」といった苦手デッキは依然として現役であるため、デッキとしての評価は今期までと同じく、グッドデッキといった扱いとなりそうです。

「転生炎獣」デッキ視点としては、「天威勇者」の動向が最も気になるところなので、デッキを使いたいと考えているプレイヤーの方は、そちらにアンテナを張っておくのが良いと思われます。

日本選手権の予選も始まりますし、どのデッキを持ち込むかを今から選んでいく段階ですが、環境次第では使えるかもな、と期待しているデッキなので、今後も研究は続けていこうと思います。

何か質問等ありましたら、スズタカの質問箱までお寄せください。

それでは皆さん、またお会いしましょう

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