
皆さん、こんにちは、スズタカです。
今回は前回に引き続き、私が今期使用していたデッキの紹介、解説記事です。
前回は「勇者」ギミック採用の「転生炎獣」デッキでしたが、今回は《強欲で貪欲な壺》を採用した「烙印鉄獣」デッキの解説を行っていきたいと思います。
まだ、前回分をお読みでない方は、そちらも合わせてご一読いただけると嬉しく思います。
それでは参りましょう。
目次
「烙印鉄獣」デッキとは
「鉄獣戦線」デッキに《烙印融合》を筆頭とする「烙印」ギミックを出張として組み込んだ混合デッキです。
基本的には純「鉄獣戦線」デッキの動きの延長線上に《氷剣竜ミラジェイド》を出すオプションが存在しているデッキだと考えてもらえると理解していただきやすいのではないかと思います。
元となるデッキリストは、日本選手権優勝デッキとなった「でぃん」選手が当日持ち込んだオリジナルデッキがベースとなっており、ダークホース枠から優勝を攫ったその活躍は非常に話題となりました。
今期、「鉄獣戦線」デッキを扱うならば、「烙印」ギミックの採用は必須要素であると考えてるほどに重要なオプションであり、「鉄獣戦線」デッキを1段階上に押し上げたソリューションと呼ぶべき構築だと言えるでしょう。
「烙印」ギミックを出張させて得られる恩恵
「烙印」ギミックを出張させることで得られる恩恵は大きく分けて4つ存在すると考えています。
以下、順番に解説を行います
1 展開の強度が上がる
従来は完成盤面に《召命の神弓-アポロウーサ》を用いていた部分が、《氷剣竜ミラジェイド》+《鉄獣鳥 メルクーリエ》に置き換わることで、従来よりも高い強度の展開を行うことができます。
妨害が可能な回数自体は《召命の神弓-アポロウーサ》の方が多いものの、特筆するべきは、妨害があらゆる場所に散っていることです。
従来の展開はリンクモンスターを主体として妨害を行うため、《ライトニング・ストーム》を受けてしまうと、《鉄獣の抗戦》以外に妨害がなくなっており、環境デッキ相手のサイド後の試合はメイン戦よりも展開自体への信頼度が下がっていました。
しかし、《氷剣竜ミラジェイド》はリンクモンスターではないため、守備表示での設置が可能なことから、《ライトニング・ストーム》が直撃することはありません。
これにより、「烙印」ギミックを取り込むことで少ないスロットながらに、従来の高い制圧力を備えたままに、各種サイドカードへの耐性を強く持つことができるようになりました。
2 手札を補充できる
《鉄獣鳥 メルクーリエ》+《黒衣竜アルビオン》+《烙印の剣》の役割は、ただ妨害数を増やすことだけではありません。
これらのカードを展開に混ぜて使うことで、手札枚数を回復しながら展開を進めることができます。
「鉄獣戦線」は展開の完遂に手札コストを必要とするため、対戦相手からの妨害を受けると必要なコンボパーツが手札に揃っていたとしても妥協的な展開を行わなければいけない場面がありましたが、そういった要素をある程度解消してくれます。
3 手札を入れ替えられる
2と地続きの話です。
「烙印」ギミックは手札を増やす過程で《黒衣竜アルビオン》の効果による1ドローを行います。
更には《鉄獣戦線 徒花のフェリジット》の墓地効果も合わせるとギミックを回してデッキを圧縮した上で2枚の手札入れ替えが可能です。
現代遊戯王におけるドローは非常に強力であり、1ドローを与えることで、デッキ内のキラーカードを引かれる確率が上がります。
このランダムドローの性質は、サイドカードを引き込むサイド後先手で特に際立つメリットとなります。
4 無効系の妨害に強くなる
ある程度条件が限られますが、対戦相手の《エフェクト・ヴェーラー》といった妨害をギミックで乗り越えていける可能性が高くなります。
例えば《鉄獣戦線 フラクトール》+《鉄獣戦線 ナーベル》といったハンドを例に挙げましょう。
従来通りのフラク→キット→ナーベルの動きではなく、フラク→キット→メルクーリエと落とし、《鉄獣戦線 ナーベル》で《鉄獣鳥 メルクーリエ》をコストに効果を発動することで、予め《鉄獣鳥 メルクーリエ》を手札に加え、《鉄獣戦線 ケラス》のコストを確保することができます。
これは《鉄獣戦線 ナーベル》の部分が《鉄獣戦線 キット》でも成立するため、少ない枚数から相手の妨害に耐性を持たせられる点は魅力的だと言えます。
また、最悪《エフェクト・ヴェーラー》を2枚受けてしまったとしても、盤面次第ではそこから《捕食植物ヴェルテ・アナコンダ》に繋げば、妨害と後続を確保することができます。
このように「烙印」出張は展開の最大値を底上げするだけでなく、展開までの過程を強化することにも一役買っています。
サンプルリスト
このデッキリストは、今期の私がCSに参加するならば最終的に使用を考えていたリストです。
実際に使用していたリストですと、福井CSやその後の非公認大会で使用舌がものがありますが、メインはサンプルリストの《DDクロウ》の枠以外は40枚同じですし、サイドデッキも大まかな指針に変わりはありません。
環境毎に必要なものを用意していくイメージでの持ち込みとなりました。
福井CS
— スズタカ@限界天賦 (@ChaosSusan) January 29, 2022
使用 烙印鉄獣
烙印鉄獣 後○☓○
勇者プランキッズ 先○○
天威勇者 後☓○☓
天威勇者 後☓☓
ドライトロン 先○☓○
3-2で予選オポ落ち。
従来の烙印出張をよりコンパクトにすることを意識して持ち込みました。
サイドもかなり練ったつもりだったけど、勝ちきれなくて悔しい。 pic.twitter.com/NjZzuVTLIm
ニノカボボックス争奪戦
— スズタカ@限界天賦 (@ChaosSusan) March 12, 2022
使用 烙印鉄獣
LL鉄獣 後☓○○
60白黒オルフェサンドラ先○☓○
デスピア先☓○○
シンクロセリオンズ 後○☓○
久しぶりにイベント優勝。
今期が終わる前に大会出ておきたかったので、いい感じに勝てて良かった。
真封じ、勅命を引けたので、3/12は勅命記念日。 pic.twitter.com/2L2Tl1Jkux
これらのリストの大きな特徴は「烙印」ギミックを採用しているにも関わらず、従来の「烙印鉄獣」デッキに採用されていた《鉄獣鳥 メルクーリエ》+《黒衣竜アルビオン》+《烙印の剣》の手札増加パッケージを不採用としている点です。
代わりにその枠には《強欲で貪欲な壺》を採用してあります。
ここからは「烙印」ギミックを部分的に採用した理由を解説していきたいと思います。
デッキコンセプト解説
今回のデッキコンセプトは、従来の「烙印」ギミックをよりコンパクトにまとめる事でした。
大前提として、私は「烙印鉄獣」デッキを《氷剣竜ミラジェイド》を出す「鉄獣戦線」デッキだとは考えていません。
あくまでも《氷剣竜ミラジェイド》を出すというオプションを持った「鉄獣戦線」デッキという位置付けと考えており、積極的な《氷剣竜ミラジェイド》の展開を目的にデッキを構築しませんでした。
その理由こそがデッキコンセプトに関わってきます。
より詳しく解説していきましょう。
オーバーキルを疑う
私が「烙印鉄獣」デッキを使い始めたのは、例に漏れず、日本選手権の結果を受けてのことですが、調整を続ける中で、
「《鉄獣鳥 メルクーリエ》+《黒衣竜アルビオン》+《烙印の剣》の手札増加パッケージ」は確かに強力ではあるものの、展開が成功した場合はオーバーキル気味な展開なのではないか?と考えるに至りました。
つまり、従来の展開と比較した時、確かにメリットを感じるものの、勝ちをより盤石な勝ちにするという性質が強い展開であるという風に考えたわけです。
また、対戦相手から妨害を受け展開が途中で止まった際に効果を使えない《鉄獣鳥 メルクーリエ》だけが手札に戻ってくるようなパターンや、《烙印の剣》のような素引きを許容しにくいカードが少なからずあったことも気になっていました。
これらのことから、展開を完遂できなければあまり強くない上に、展開を完遂したらオーバーキル気味になる性質のカード採用はあまり好ましくないと考え、構築から外すことを検討するようになりました。
この際、今期は多くのデッキがサイドデッキに《原始生命態ニビル》を複数枚採用している、という事実も非常にネックとなっていました。
従来の展開であれば、《召命の神弓-アポロウーサ》で直撃を避けられたはずの《原始生命態ニビル》を無駄にくらってしまう展開を積極的に狙っていくのは、あまり好ましいとは言えません。
とはいえ、対「勇者デスピア」を意識する場合には、《氷剣竜ミラジェイド》+《鉄獣鳥 メルクーリエ》の盤面は非常に有効だと考えられるため、積極的な採用もアリだとは考えています。
《氷剣竜ミラジェイド》の必要性
その一方で、サイド後の《ライトニング・ストーム》を対策する観点で、《氷剣竜ミラジェイド》の存在は必須である、とも考えていました。
これは、デッキがせっかく綺麗に回った上で負けるのが一番意味がない、と考えていたため、展開の最大値を確保するためにも、《氷剣竜ミラジェイド》を展開に絡める選択肢が欲しいと考えていたからです。
これらのことから、《氷剣竜ミラジェイド》の成立に最低限必要となるカードだけをデッキ内に採用し、それ以外のカードを不採用とすることで、「烙印」ギミックの恩恵を最低限享受しつつ、デッキスロットに余裕を持たせることに成功しました。
《強欲で貪欲な壺》の採用
「烙印」パッケージを不採用としたことで、捻出したデッキスロットには《強欲で貪欲な壺》を採用しました。
これは、メインデッキ、サイドデッキの先手、後手を問わずパワーの高いカードであり、最も汎用性の高いカードを探した結果です。
従来の「烙印」ギミックは必要な時以外、素引きをしたくないカードだと考えていたため、それらを抜いた枠には、逆にいつ引いても嬉しいカードを採用することが必要だと考えての採用です。
また、《強欲で貪欲な壺》を採用することで《鉄獣の抗戦》が飛ぶリスクを抑えるために、2枚目の採用を行いました。
これにより、《鉄獣の抗戦》の素引きによる妨害の貫通など、従来ではなかった利点も生まれました。
ここも、各「烙印」ギミックの素引きでは補えない要素だったので満足しています。
つまり、「烙印」ギミックが抜けた3枠は《強欲で貪欲な壺》2枚と《鉄獣の抗戦》と交換された形となりました。
《強欲で貪欲な壺》を採用することのリスク
《強欲で貪欲な壺》を採用することのリスクとして
- 《烙印融合》《アルバスの落胤》の片方が飛ぶ
- 《レスキューキャット》に必要なカードが飛ぶ
といったリスクが考えられましたが、それぞれ概ね問題はありません。
前者の場合、
- 2ドローさえ通ればその分も合わせて十分ゲームに勝てる、という自信があったこと
- 後述のサイドプランとの兼ね合いもあり、サイド後でも《召命の神弓-アポロウーサ》の成立を目指すことを最優先としていたこと
- 後手からは「烙印」出張を通す余裕がないから、全てサイドアウトしていたこと
これらの理由から、「烙印」出張の飛び自体はそもそも発生しても問題にはなりにくいと考えていました。
後者に関しては、4/5枚吹き飛ぶとか、まあ、めったに問題は起きんでしょ、と楽観的な考えで強行しました。
最終的にはフィーリングです。
今シーズンは、練習を含めて、マッチ戦を数十戦は行ってきましたが、《強欲で貪欲な壺》の飛びが負けに直結するパターンは数戦しかなかったため、リスクリターンを鑑みてもリターンの方が大きいと考えていました。
最終的に1枚の《鉄獣戦線 キット》を含む《レスキューキャット》用の2枚と、1枚の《鉄獣の抗戦》がデッキに残れば問題ない、という考えを持てば、そこまでむちゃくちゃな採用ではないと考えていただけるはずです。
後手ならば《鉄獣の抗戦》が吹き飛ぶリスクも軽減されるのも重要なポイントですね。
サイドプラン
ここからは大まかにサイドプランを解説していきます。
先攻のサイドプラン
今期の「鉄獣戦線」デッキが先攻展開を行う際に意識するべきカードは何度も述べている通り、《ライトニング・ストーム》と《原始生命態ニビル》です。
《アーティファクト・ロンギヌス》のような致命的なメタカードがないため、基本的にはやりやすい環境であったと言えるでしょう。
そして、《原始生命態ニビル》に関しても、従来の《召命の神弓-アポロウーサ》を展開に使えば無理なくケアが可能です。
つまり、最優先でケアが必要なのは、《ライトニング・ストーム》という事になります。
ギミック内から《氷剣竜ミラジェイド》を選択肢に持っているとはいえ、《増殖するG》も考えると展開だけでの対策は行いたくありません。
そのため、素引きの魔法カード対策を用意しました。
今期の《王宮の勅命》《魔封じの芳香》は《ライトニング・ストーム》だけでなく《アラメシアの儀》《影依融合》といった捲りの起点となるパワーカードを封殺することができたため、非常に強力な先手カードでした。
これらのカードを《強欲で貪欲な壺》などを合わせて用いて引き込み、《ライトニング・ストーム》への耐性を備えた上で、従来の展開を行うことを基本的なサイドプランとしました。
そして、魔法カード対策が引けなかった場合にのみ、崩しの展開として《原始生命態ニビル》ケアを割り切って《氷剣竜ミラジェイド》を使用することとしました。
これらのことから、サイド後先手の《強欲で貪欲な壺》はサイドカードを探す役割が強く、そこさえ成立すれば「烙印」ギミックが飛んでも問題ない、という話に繋がります。
また、魔法対策以外にも《次元障壁》《原始生命態ニビル》はデッキギミックと相性のいい先手カードであるため、相手からの誘発を受けて止まっても、各種カードを交えてターンを買い、勝利することができました。
後手のサイドプラン
基本的には手札誘発で動きを止めた後のワンキルか制圧を目指します。
サイドインするカードは分かるはずなので、抜く指標を伝えていきます。
烙印ギミック
基本的には「烙印」ギミックは全て抜きます。
これは「鉄獣戦線」デッキの攻め手は召喚権と《鉄獣戦線 ケラス》による2手の仕掛けが精一杯であり、「烙印」ギミックは手数の増加に全く寄与しないため、基本的に引き損だからです。
再三述べてきた通り、「烙印」ギミック採用はオーバーキルでない範囲で《ライトニング・ストーム》をケアするための備えであるため、不要なら取り外しましょう。
ただし、「LL鉄獣」相手は《LL‐アンサンブルー・ロビン》を無理なく処理する素引き札として《アルバスの落胤》のみ残してサイドアウトしていました。
これはどうせ噛み合い要素が強いマッチアップなので、噛み合った際に強く捲れるカードを残そうという思考です。
《王宮の勅命》《魔封じの芳香》をケアする
相手のデッキによるものの、魔法カードを極力排したデッキにリストを整えましょう。
《炎舞-「天璣」》や《おろかな埋葬》あたりは減らす候補となります。
レスキューキャット
相手のデッキによって残す枚数を決めます。
手札誘発を多く打ち込み、動きを止める前提の相手には、少ないハンドから強い展開を行える《レスキューキャット》を残します。
これは、展開系デッキは止まらなければその時点で負けなため、通った時に強いカードの方が得だからです。
雰囲気で1~2枚あたりに枚数調整することが多いです。
鉄獣の抗戦
相手のゲームスピード次第で何枚残すか決めます。
基本的には1枚あれば十分です。
最後に
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
今回は、一般的に出回っていいるデッキリストを自分なりにアレンジして運用する、という経験が強い期間となりました。
新制限では「烙印鉄獣」のパーツが規制されてしまったことからこれ以上研究が行われるとは思えず、実際に「烙印」ギミックを外して運用することが正しかったのかは、明確な答えが出ないままにシーズンが終わってしまったため、若干無念な思いが残ります。
願わくば、他に「烙印鉄獣」を使っていたプレイヤーとも意見交換をしてみたいと考えていたため、よければ質問箱などにお届けくださると嬉しく思います。
その他、質問等ありましたら、質問箱の方までお願いします。
それでは皆さん、またお会いしましょう。