
皆さん、お久しぶりです、スズタカです。
今回は、デュエルリンクスにOCGの過去の環境デッキ「彼岸」が収録されるとのことで、その解説記事をお送りしていきたいと思います。
今回は、過去にOCGの彼岸デッキを実際に使用していた経験のある「ウエダジロウ」さんと一緒に考えたリストになります。
それでは参りましょう。
「彼岸」とは
以下、遊戯王wikiから抜粋
EXTRA PACK 2015でカテゴリ化した「彼岸」と名のついたカード群。
属するモンスターは、メインデッキのものは闇属性・悪魔族で統一されている。
また、メインデッキの「彼岸の悪鬼」モンスターは全てレベル3で統一されており、以下の共通の効果を持つ。
このカード名の(1)(3)の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。
(1):自分フィールドに魔法・罠カードが存在しない場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
(2):自分フィールドに「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。
(1)の効果は起動効果、(2)の効果は永続効果である。
これに加えて、チューナーである《彼岸の悪鬼 ラビキャント》以外は以下の誘発効果を持つ。
(3):このカードが墓地へ送られた(場合に/ターンのエンドフェイズに)発動できる。(固有効果)
この効果は共通の効果テキストにある通り(1)の効果と同一ターンには発動できず、《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》のみ墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる効果となっている。(ここまで引用)
端的に言うと、身内だけで集まっている内は態度はでかいのに、よそ者が入ってきた途端に大人しくなり、挙句は爆発四散してしまう、根っからの陰キャ集団です。
そのため、「彼岸」デッキを構築する際は、「彼岸」モンスターでデッキ内のカードを固めたデッキ構築が基本となります。
「彼岸」モンスター以外を採用しなければ、デメリットはないに等しいため、高い展開力とリソース獲得能力を遺憾なく発揮することができます。
しかしながら、《月の書》のようなカードを使われてしまうと、
「彼岸」モンスター以外のモンスターが存在する場合にこのカードは破壊される。
の効果が発動してしまうので、どうあっても弱点を完全に消すことはできないことには注意しましょう。
次はキーカードを見ていきます。
実装される「彼岸」のキーカード
彼岸の旅人 ダンテ
「彼岸」デッキのメインアタッカー1号かつ、アドバンテージエンジンかつ、リソース源になるカードです。
《カードガンナー》のようにデッキの上から3枚を墓地に送る効果で、デッキ内の各種「彼岸」カードの墓地効果を追加で誘発させられるだけでなく、打点も1500上がります。
そのため、ランク3の汎用エクシーズモンスターでありながら、実質的には攻守2500に加えて、3枚の墓地肥やしが行えるスーパーアドバンテージエンジンといえます。
攻撃後には守備表示になるため、追撃を恐れる必要もなく、仮に墓地に送られたらリソース回収能力も持っていると至れり尽くせりのカードです。
攻撃、防御、リソース管理の全ての要になる最重要カードだといえるでしょう。
このカードはエクシーズモンスターである、という性質が特に重要であり、防御面ではこの性質が特に光ります。
彼岸の詩人 ウェルギリウス
手札コストこそ必要なものの、あらゆるカードをデッキバウンスできる効果と破壊時のドロー効果を持つシンクロモンスターです。
「彼岸」デッキのメインアタッカー2号にして、ギミック内の貴重な除去要員です。
「彼岸」デッキはハンドアドバンテージ獲得能力に優れるため、コストの捻出も無理なく行えるだけでなく、コストにしたカードから追加のアドバンテージを獲得することもできます。
《彼岸の旅人 ダンテ》が防御寄りの万能型エースだとするならば、《彼岸の詩人 ウェルギリウス》は攻撃に特化したエースだと言えるでしょう。
OCGの頃はあくまでも《彼岸の旅人 ダンテ》《永遠の淑女 ベアトリーチェ》(後述)以外の予備のプラン的な意味合いでの採用が強いカードでした。
しかし、《永遠の淑女 ベアトリーチェ》が実装されていないデュエルリンクスにおいては、むしろ《彼岸の詩人 ウェルギリウス》を前に押し出したビートダウンプランが有効なのではないかと考えています。
彼岸の悪鬼 ガトルホッグ
ここからは下級モンスター「彼岸の悪鬼」シリーズの紹介です。
「彼岸の悪鬼」は前述の通り、共通効果として、
- 特殊召喚効果
- 自壊効果
- 固有の墓地効果
の3種の効果を保有しています。
そして、《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》の固有効果はテーマ内の固有効果の中でも特に使いやすく、他の「彼岸」モンスターを墓地から蘇生できる、という効果となっています。
これは、一度正規召喚に成功してさえいれば、《彼岸の旅人 ダンテ》《彼岸の詩人 ウェルギリウス》といったエース格のモンスターを吊り上げることが可能ということです。
そのため、序盤は《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》1枚で展開を伸ばしつつ、中盤以降は必要なエースモンスターへのアクセス役を担うことができ、ゲーム中いつでも腐ることがありません。
また、《彼岸の旅人 ダンテ》と合わさって防御面でも非常に優秀な活躍を見せます。
総じて、様々な角度から攻守の橋渡しを行う隠れたエースカードとなるでしょう。
全体的に貧弱な「彼岸の悪鬼」モンスターの中でも高めの1600という打点を持っているため、展開だけでなくワンキルに使えるのもグッドです。
彼岸の悪鬼 スカラマリオン
「彼岸の悪鬼」共通効果と、墓地効果によるサーチ効果を持ちます。
特殊召喚以外効果以外では、展開を直接伸ばすことができるカードではありませんが、《彼岸の旅人 ダンテ》のサルベージ効果と合わせてリソース勝負に強くなれるカードです。
また、手札を増やすことができる性質から《彼岸の詩人 ウェルギリウス》のコスト調達役として優秀です。
攻めっ気のないカードではありますが、その分、守備力が下級モンスターと思えないほどに無駄に固く、更には処理するとアドバンテージを与えてしまうというリスクから、使われる観点からは《彼岸の旅人 ダンテ》と並んで、処理が難しく、非常に厄介なカードとなります。
《月の書》対策を行う観点でも重要なカードになるでしょう。
彼岸の悪鬼 ファーファレル
「彼岸の悪鬼」共通効果と、固有効果で《亜空間物質転送装置》のような一時的な除去効果を持ちます。
「彼岸」デッキ内で《彼岸の詩人 ウェルギリウス》以外の貴重な除去効果です。
「彼岸」デッキはデッキ内で用意できる最高打点が《彼岸の旅人 ダンテ》《彼岸の詩人 ウェルギリウス》の両エースの2500であるため、それ以上の打点を要求されるカードの処理に手間取ってしまいます。
そのため、ビートダウンで処理できないカードは《彼岸の悪鬼 ファーファレル》の除外効果で、一時的にフィールドから離している隙に殴り込んでライフを取る、ということが重要となります。
また、除外効果は攻撃面だけでなく防御面としても優秀で、《彼岸の旅人 ダンテ》に《彼岸の悪鬼 ファーファレル》を素材として仕込んだり、《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》の蘇生先とすることで、並大抵のデッキのワンキルを許さない固さとなります。
本体も守備力1900と無駄に固く(2体目)、総じてライフカットを困難とするでしょう。
ここまでの解説で、薄々お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、「彼岸」はこのような無駄な硬さと陰湿さでOCGでもトップメタを獲得していたデッキであり、陰キャ性能が半端ではありません。
完全な余談になりますが、個人的には「彼岸」カードの中で最もイラストが好きなのは、この《彼岸の悪鬼 ファーファレル》になります。
彼岸の悪鬼 ラビキャント
共通効果に加えて、チューナーであるという性質を持ちます。
このカードは他の「彼岸の悪鬼」と違い、墓地効果を持たない代わりにテーマ内で唯一のチューナーであり、《彼岸の詩人 ウェルギリウス》をシンクロ召喚できます。
これは裏を返すと、《彼岸の詩人 ウェルギリウス》を主体としたビートダウンを狙う場合、そのプランが成立するかどうかが《彼岸の悪鬼 ラビキャント》にアクセスできるかどうかで決まってしまうという不安定さを持っているということでもあります。
そのため、《彼岸の悪鬼 ラビキャント》にアクセスできなければ、《彼岸の詩人 ウェルギリウス》にもアクセスできないことになってしまうため、墓地効果を持たないとはいえ、最低限の枚数を採用しなければならない枠だと考えています。
また、特に意味もなく守備力が高い(テーマ内3枚目)ため、最低限のバリューを持っています。
1枚でも墓地に置いておけば、《彼岸の旅人 ダンテ》《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》による使い回しが効くので、初動で触れるに越したことはないでしょう。
彼岸の悪鬼 バルバリッチャ
「彼岸」の共通効果と、墓地効果としてバーン効果を持っており、OCGの「彼岸」のフィニッシャー枠()を担っていたカードでもあります。
OCGでは、そのバーン効果とギミックの耐久力を利用した遅延戦術がプランに組み込まれたほど、ある意味存在感を放っていたカードですが、デュエルリンクスにはETも遅延戦術もないので、OCGほどは活躍機会は多くはないでしょう。
そのため、デュエルリンクスにおいては、真面目な使い方を模索することになります。
その観点で、このカードは、デッキ内の下級モンスターの中で、1700という最高の打点を持つことを目的として採用するべきカードになると思われます。
特に打点が1500を超えている、という事が非常に重要です。
これは「彼岸」のアタッカーが2500打点であり、ワンキルを目指すには追加で1500以上の打点を並べなければいけないことが主な理由です。
ワンキルを狙う際に、単体で1500以上の打点を出せなければ、追加でランク3エクシーズやシンクロ召喚を行う必要が出てくるため、手札の要求値が跳ね上がってしまうため、単体で打点になれるカードは貴重です。
《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》も打点1600かつ、メリット効果を持っていますが、自身の効果で自身を蘇生できないため、その蘇生先としてこのカードを用意しておく価値は十分にあると言えるでしょう。
その他のカードと同様に、1度墓地に落としてしまえばギミックでアクセスすることは容易なので、ワンキルプランを強く押し出すならば複数枚の採用が考えられるでしょう。
サンプルリスト
以下、基本的なゲームプランの解説です。
全体的なゲームプラン
各種「彼岸」カードを駆使してアドバンテージを稼ぎつつ、《彼岸の旅人 ダンテ》《彼岸の詩人 ウェルギリウス》を軸にビートダウンを行います。
「彼岸」ギミックがアドバンテージ獲得能力を活かしたコントロールプランを取りやすいデッキなため、その他の各種採用カードでゲームレンジを多少自由に動かすことができます。
今回は、中速を意識したチューニングとなっており、リソースを伸ばしつつ2~3ターンほどをかけてライフを削り切ることを目標にしています。
先攻の動き
先攻の時に重要なのは、《彼岸の旅人 ダンテ》《彼岸の悪鬼 ファーファレル》《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》の3枚になるでしょう。
具体的には
- 《彼岸の悪鬼 ファーファレル》を素材に持つ《彼岸の旅人 ダンテ》
- 《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》を素材に持つ《彼岸の旅人 ダンテ》と墓地に《彼岸の悪鬼 ファーファレル》
このどちらかをひとまずは目指して行くことになるのではないかと考えています。
こうすることで、仮に相手に《彼岸の旅人 ダンテ》を処理されたとしても、素材から《彼岸の悪鬼 ファーファレル》にアクセスできるため、更に1妨害を残すことが可能です。
特に3種を揃えた後者の場合、《地砕き》のような前面除去を受けたとしてもフィールドに《彼岸の悪鬼 ファーファレル》が残るため、耐久性能は非常に高いです。
このようにギミック内で最低限の防御が可能なため、その他のカードの採択が自由になると思われます。
困ったら《彼岸の旅人 ダンテ》を立てておき、余裕があれば《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》を落としてリソース獲得までできると理想です。
しかし、実際はそれを狙うのは稀でしょう。
次はそこを解説します。
《彼岸の旅人 ダンテ》の効果を使うのかどうか
《彼岸の旅人 ダンテ》の効果は、実は使い得の部類ではありません。
何故なら、デッキ内に残っている「彼岸」カードは残存リソースであり、意味もなく墓地に落としてしまうと長期戦に強いはずの「彼岸」デッキの強みを殺しかねないためです。
そのため、展開が十分に行えているならば、過度にデッキを削る必要はありません。
特に先手ではアドバンテージとなるのは《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》の蘇生効果と《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》のサーチ効果のみであり、それらがヒットしないと無駄にリソースを捨てる可能性があるため注意が必要です。
そのため、先攻時の《彼岸の旅人 ダンテ》は素材を外す効果を使用するべきか、使うならば何枚落とすべきなのかは十分に考えるべきです。
それこそ、《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》含みならば、1枚すら落とさずにターンを返す可能性すらあると考えています。
ただし
- 初動で《彼岸の悪鬼 ファーファレル》《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》のどちらかに触れていない
- 《彼岸の詩人 ウェルギリウス》を扱いたい対面なので、予め《彼岸の悪鬼 ラビキャント》へのアクセスを目指したい
- 相手のデッキが「ガイア」の可能性があり、リソースを《彼岸の旅人 ダンテ》1体に集めることにリスクがある
など、明確な目的、理由があるならばデッキを3枚削ることは悪いことではありません。
また、必ず1枚落としを行うパターンとして、
- 《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》が素材にある場合
が挙げられます。
これは、デッキ1枚を削るだだけで後続をサーチできるためぜひ行いたいですね。
このように《彼岸の旅人 ダンテ》の効果を使用するかどうかは、場面によって正解かどうかが変わるため、ある程度練習することが重要だといえます。
脳死で3枚落としを行い、最終的にリソース不足で負ける、という負け方をしないようにだけは気を付けて、後は適切に扱うことを心掛けましょう。
ワンキルパターン
手札、墓地の「彼岸」モンスターの数や種類、内訳によって展開パターンは変わるので、大まかなイメージだけ掴んでもらえれば幸いです。
また、本構築はワンキルを目指しては組んでいませんが、「彼岸」モンスターの数、種類を増やし、デッキ内のバック除去を厚くするほどワンキル性能が上がるので、環境次第ではそういったパターンもあるでしょう。
一言だけ言えるのは、ワンキルする条件を整えるだけなら、簡単な部類のデッキだという事です。
以下展開例
- 《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》+「彼岸」2体
《彼岸の旅人 ダンテ》を2体並べて2500打点×2の5000打点を目指します。
- 《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》+《彼岸の悪鬼 ラビキャント》+「彼岸」モンスター
《彼岸の旅人 ダンテ》+《彼岸の詩人 ウェルギリウス》の2500打点×2の5000打点
上の展開の派生パターンです。
《彼岸の詩人 ウェルギリウス》の1除去が使えます。
分かりやすいのは、これくらいで、他には2500打点+下級の打点でキルを目指すといったパターンが多くなるでしょう。
展開過程に《彼岸の悪鬼 ファーファレル》を絡められれば、追加で1除去を行いつつ攻撃に向かうこともできます。
全体的にアドリブ要素が強くなるでしょうが、「彼岸」モンスターがいっぱいあれば簡単にワンキルが成立する、と覚えておけば問題はありません。
初手からワンキルを目指すと、どうしても特殊召喚効果が多くなってしまうため、《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》《彼岸の悪鬼 ファーファレル》あたりの有力な下級を上手く使えない場合もあります。
そのため、無理をせずリソースを優先しターンを跨いだライフカットを行うことも視野に入れるべきでしょう。
これは逆もまたしかりであり、取れるライフを一気に取る選択肢も持ち合わせておきましょう。
《月の書》を乗り越える方法
テーマ解説の項でも述べましたが、「彼岸」というテーマは《月の書》に滅法弱いです。
そして、デュエルリンクスにおいて《月の書》は最も汎用的な妨害である以上、その対策は必須です。
そのため、今回は敢えて専用の解説項目を設けました。
今回のリストを制作するにあたってリスト内には3つの対策を盛り込みました。
-
《禁じられた聖槍》で受ける
-
《クレーンクレーン》で貫通する
-
《弩弓部隊》のコストにする。
それぞれ簡単に解説していきましょう。
《禁じられた聖槍》で受ける
最もシンプルな解決策です。
採用カードもシンプルかつ応用が効くのでデッキ構築の段階で無駄な裏目を抱えることがありません。
この際、《禁じられた聖槍》の存在がテンプレとなった場合、対戦相手の理解度が高いと、《禁じられた聖槍》で《月の書》が弾かれた上でのワンキル、という負け筋を嫌って、打点要員の着地まで待たれる可能性が出てきます。
しかしながら、その場合は、本来は致命的な負け筋になりかねない《月の書》を弱く使わせることには成功しているといえます。
このように《禁じられた聖槍》はその存在で相手のプレイをある程度縛ることができ、「彼岸」デッキの必須枠になるのではないかと予想しています。
また、安易な《月の書》決め打ちを許さないためにも、スタンバイフェイズからラグを出せる《サイクロン》《月の書》といったカードを採用し、引き込んでラグを見せつけることも、《月の書》ケアの観点で非常に重要になるでしょう。
とはいえ、駆け引きには相手の理解度や思考など、自身が介入できない要素が多く、そういった三味線プレイが通じるかどうかはあまりあてになりません。
何より、2500打点×2の5000が基本的なキルラインになると考えている相手の場合、最終着地点に《月の書》を打っても4200打点が残ってしまうので意味がない、と考えられた場合、一周回って決め打ちをされる可能性も十分にあり得ます。
そのため、今回採用した3つのプランは全て、初動への「決め打ち」に対応できるものとなっています。
これは対策である以上、無駄な裏目を抱えるわけにはいかないためですね。
《クレーンクレーン》で貫通する
「彼岸」モンスター2体を共通効果で特殊召喚し、《月の書》を要求した後に《クレーンクレーン》の効果で追い打ちの展開を行うパターンです。
仮に《月の書》を発動されたとしても、《クレーンクレーン》で立て直しが効きますし、《月の書》がなければ一気にワンキルを狙えるほどの展開に変わります。
そのため、こちらも採用に裏目がありません。
強いて欠点を挙げるとしたならば、先攻で多少浮いてしまうことや、初動で「彼岸」モンスターと仲が悪いことくらいでしょう。
そのため、中盤戦の要と後手の補強を兼ねて2枚採用としています。
長期戦を意識するならばリソース要員としても優秀なので3枚目も視野に入るでしょう。
《弩弓部隊》のコストにする
こちらもシンプルで、《月の書》の対象となったカードを《弩弓部隊》のコストにしてしまう方法です。
先置きの《弩弓部隊》の場合、相手の《月の書》をスカした上でアドバンテージを獲得することができます。
後手1ターン目では完全には《月の書》をケアすることはできないことには注意をしましょう。
そのため、可能ならば、自壊した時にメリット効果が残る《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》を通常召喚権で置けるのが望ましいでしょう。
これは《弩弓部隊》の有無に関わらず《月の書》の被害を抑える観点で常に重要なポイントです。
以下、補足解説。
Tips
自壊した時にメリット効果が残る《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》を通常召喚権で置けるのが望ましい《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》を通常召喚した場合、自壊させるとエンドフェイズにサーチ効果が発動してしまう。
そのため、サーチ効果を使わせないためには《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》に《月の書》を当てなければならず、その場合、アドバンテージの損失は少なくなる、ということ。
この際、《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》を特殊召喚していると、自壊させることに裏目が発生しないため、相手に《月の書》を強く使われてしまう可能性がある。
《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》に限らず、ボードに残したいカードは召喚権を使って展開するべきだといえる。
また、変則パターンとして、墓地に《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》その他の蘇生対象が存在する場合の《彼岸の悪鬼 ガトルホッグ》も《月の書》直撃の被害を抑えるのに一役買ってくれる。
未収録のキーカード達
ここまで述べてきたことで、現段階でも、「彼岸」カードは見た目以上に高いポテンシャルを持っていることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
しかしながら、実は「彼岸」の本体ともいえるカード達は数枚が未だリンクスに実装されていません。
以下、代表的なカードを何枚か紹介しておこうと思います。
これは、運営の気分次第で、いつでもセレクションボックスで集金が可能、ということでもあります。
震えて待ちましょう。
彼岸の悪鬼 グラバースニッチ
シンプルに最強の下級モンスター。
最初は《彼岸の悪鬼 グラバースニッチ》のない「彼岸」なんて興味がない、と感じてしまったほどには、デッキコンセプトを支える1枚です。
(よくよく考えたら来なくても十分に強かった、と後で気づいた)
まあ、強すぎるので来ないでしょうが、セレボに収録できそうなギリギリラインだといえないこともないかもしれません。
永遠の淑女 ベアトリーチェ
《彼岸の旅人 ダンテ》に重ねてエクシーズ召喚できます。
このデッキの真のフィニッシャーにして、OCGの暗黒期に「彼岸」のデッキパワーを1段階引き上げ、最強デッキと殴り合う下地を与えたほどの最強のシステムモンスターです。
そのパワーは今なお、現代遊戯王ですら使用され続ける実績と汎用性に見ることができるでしょう。
《彼岸の悪鬼 ファーファレル》の収録が確定していなければギリギリ収録される可能性もありましたが、一生来ない枠となったと思われます。
そのため実際に来るまでは解説は行いません。
とりあえず強い、それだけ。
彼岸の巡礼者 ダンテ
端的に言うと、「彼岸」の「コキュートス」。
「彼岸」名称を持っているため《永遠の淑女 ベアトリーチェ》でエクストラデッキからの踏み倒しが可能。
OCG時代に正規召喚されている姿を見たことがない、と言えばその使われ方も想像できるでしょう。
もちろん来れるわけがありません。
別名が「松潤」なのはあまりにも有名。
彼岸の沈溺
テーマ専用の分かりやすい除去カード。
見た目は3対3交換ですが、「彼岸」カードは墓地に送られた際にアドバンテージを獲得するので、実態は0対3交換なんて場合もザラにあるかなり危険なカードです。
とはいえ、そこそこにコストが重いので、ギリギリ来ても良さそうな気配を感じる1枠。
これがあれば、《彼岸の旅人 ダンテ》を能動的に墓地に送りやすくなるため、アドバンテージ管理が更に自由になりそうなので、個人的には是非来てほしい1枚。
というか、来てると思ってデッキを組んでいたところ、なくてびっくり(がっかり)した枠。
魔サイの戦士
「彼岸」カードと仲がいい悪魔族モンスターであり、デッキ内の好きな悪魔族へのアクセス権となります。
各種カードのかさましになり、安定性が上がります。
一番セレクションボックスに収録されそうな強化枠だと予想しています。
魔界発現世行きデスガイド
いつもなんらかのミッションを教えてくれるあのお方。
《彼岸の悪鬼 スカラマリオン》からサーチできるランク3生成機。
流石に来れるわけもなく。
その他雑感とまとめ
収録されたカードだけで見ても、前段階でTier2程度にはつけれそうなほどの高い地力を感じるカード群といえます。
収録に合わせてスキル修正によって苦手デッキになりそうだった「ハーピィ」が1ランク下がった立ち位置になるだろうという予想も追い風だと言えるでしょう。
しかしながら、「ハーピィ」より、目下のところ対策が必要と考えられるのは「幻奏」と「ガイア」の2デッキです。
これらは、繰り上がりでトップメタに食い込んでくる可能性が高い上に、それぞれが彼岸ギミックにクリティカルな要素を持っているためかなり警戒が必要。
特に、《月の書》+26打点+効果封じ、といった形で、「彼岸」の苦手要素3つを持つ「ガイア」は、明確な苦手マッチとなりそうなため引き続き研究が必要となるでしょう。
現状、メインギミックを回すことで《彼岸の旅人 ダンテ》+αの最低限の防御が成立するため、そのための確率さえ損なわなければ、残り枠を対策枠に振り分けることも可能と考えています。
そのため、ここからは、ガイア、幻奏への対策を取れるメイン構成を考えるフェイズに入りそうだと考えており、サンプルリストの《ブレイクスルースキル》2枚はトップメタへの対策枠としての採用です。
しかしながら、現状はどちらにもクリティカルだとは謂い難く、悩ましい枠です。
今後、研究を進める中で、どちらかへの対策さえ無理なくリスト内に納められれば、暫定tierのさらなる格上げを考えられると思えるので、引き続き研究を進めたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
面白いと思っていただけたり、質問があったりした場合、Twitterや質問箱に投稿していただければ嬉しく思います。
それではみなさん、またお会いしましょう。