
皆さん、こんにちは、スズタカです。
今回は、タイトルのように、マスターデュエルにおける禁止カードの出し方に関する考察記事です。
以前から、書きたい記事として構想があったのですが、後回しにしている内に、ゲーム内で初めてのリミットレギュレーションが発表されてしまいました。
いい機会なので、ここいらで《真竜皇V.F.D.》に見る、マスターデュエルにおける規制の方向性を考察していこうと思います。
それでは参りましょう。
目次
なぜ、マスターデュエルではVFDが禁止にならないのか?
はじめに
マスターデュエルのカードプールが発表された時、既存のプレイヤーが最も話題に挙げたことは、《真竜皇V.F.D.》が制限であること、つまり、禁止ではないことだったように思われます。
マスターデュエル内で《真竜皇V.F.D.》がシステム的な弱体化を受けた(所謂nerfを受けた)といったこともなく、展開と効果の成立でゲーム性は簡単に破壊されました。
1年以上前に終わったはずの悪夢とまた向き合わなければならないのか、と考えた人も多かったでしょう。
筆者も例に漏れず、なぜ、今更こんなクソゲーをしなければならないんだ、と嘆いていたことを覚えています。
そして今回、ゲーム内で初のリミットレギュレーションが発表されたことにより、その意見は再燃しているように感じます。
つまり、《真竜皇V.F.D.》が使用可能なのはおかしいだろう?という意見ですね。
しかしながら、私は現在は、《真竜皇V.F.D.》は禁止にならないと考えており、明確な理由も持っています。
シングル戦というゲーム性
誤解を恐れずに言うならば、《真竜皇V.F.D.》が禁止にならない理由は、シングル戦の遊戯王は明確なクソゲーであることが最大の理由であると考えています。
より、適切な言い方をするならば、シングル戦の遊戯王というゲームは、マッチ戦のそれと比較したとき、数段クソゲー度合いが増すゲームであることがその理由であるといえるでしょう。
これは、先攻展開の強力さ、多角性に対して、メインデッキから取ることのできる対策法は自ずと限られており、絶対的に先攻有利のゲーム性が覆らないためです。
これが何故かというと、サイドデッキからの対策カードを用いれば、無理なく対策できるようなコンボデッキがあったとしても、そういった役割の狭いとがった対策カードを採用することは、その他多くの対面への勝率を引き下げるため、トータルでは採用し損となるからです。
そのため、メインデッキは自ずと無難な対策カードの採用にとどめ、先攻を獲得した際に最大値を出せる構築が長期的に見て最適解になります。
その結果、サイドカードでなければ対策ができないような強力なコンボデッキ相手に後手になった瞬間、高確率でクソゲーが発生します。
この、シングル戦のシステムの恩恵を最も受けていたのは、
- 《ドロール&ロックバード》のような極端な「手札誘発」に弱いものの、展開の最大値が理不尽に高い「ドライトロン」デッキ
- 《ハーピィの羽根箒》《ライトニング・ストーム》といったバック除去に弱いが強力な罠カードを多く採用できる「エルドリッチ」デッキ
あたりが代表的でしょう。
マッチ戦というゲーム性
これが、マッチ戦になるとどうなるかというと、各プレイヤーがサイドデッキから対策カードを採用できるため、特定のサイドカードに弱いデッキの勝率は、先攻後攻を問わず、大きく下がります。
前述したシングル戦で高い勝率を誇るデッキほど、その差は顕著なものとなります。
このように、サイドデッキによる相性や先手後手の格差の改善の影響は非常に大きく、マスターデュエルでは、高い勝率を誇るデッキがOCG環境ではそこまで取り立てるほど問題視されていない理由の1つでもあります。(もちろんカードプールの違いも大きいです)
そして、マッチ戦という観点で見たとき、「電脳堺」デッキの《真竜皇V.F.D.》を軸とした展開は、その成立でゲームに勝利できるだけのパワーを持っているだけでなく、その他多くの展開デッキと比較して、各種「手札誘発」への耐性が高く、サイドチェンジ後のゲームであったとしても、高い再現性を持っていました。
つまり、《真竜皇V.F.D.》を使用した「電脳堺」デッキは、前述の「ドライトロン」デッキ、「エルドリッチ」デッキとは真逆で、マッチ戦における優位性を最も獲得していたデッキだということができます。
ここまで言えばお分かりでしょうが、《真竜皇V.F.D.》がなぜOCG環境で禁止になったのかというと、「電脳堺」デッキがサイドチェンジ後も含めて高い再現性をもってゲームを行えたからです。
つまり、当時のカードプールでは対応できない展開のキーカードであるため、禁止されたのです。
マスターデュエルではどうなのか?
しかしながら、マスターデュエル内においては、「電脳堺」デッキの《真竜皇V.F.D.》はその他大勢の展開と大差がありません。
これは、マスターデュエルのゲーム性がシングル戦に特化しているためです。
「電脳堺」デッキの《真竜皇V.F.D.》は確かに強力で、返すことが困難な、ゲーム性が破綻している先攻展開ですが、これは「電脳堺」デッキに限った問題ではありません。
「ドライトロン」デッキの「アルデク」6妨害も、「エルドリッチ」デッキの先攻5伏せも、「鉄獣戦線」デッキの「ウーサ+双龍+リボルト」も、その他多くのデッキの先攻展開も、ブン回ってしまえばまともに返すことはできません。
あらゆるデッキが皆、平等にクソゲー要素を持っており、先攻展開が成立してしまえば、そこにゲーム性は殆どありません。
シングル戦でゲームを行う限り、そういった展開の全てに適切に対処することもできません。
つまり、マスターデュエルがシングル戦でゲームを行い続ける限り、《真竜皇V.F.D.》とその他多くの先攻ブン回しに本質的な差は生まれないといえます。
これこそが、《真竜皇V.F.D.》がマスターデュエル内で禁止カードにならない理由であると考察しています。
マッチ戦とシングル戦ではカードの評価が違いますが、その極端な一例程度だと考えています。
今後の予想とその他の類似カードに関しての考察
ここまでは、《真竜皇V.F.D.》がマスターデュエル内でしばらくは禁止カードにならないであろう理由を考察してきました。
以下、関連した考察を少しずつ置いておきます。
《真竜皇V.F.D.》は今後も禁止にならないのか
今後もマスターデュエルで《真竜皇V.F.D.》が完全に禁止されないとまでは考えてはいません。
今回の新リミットで「ドライトロン」デッキが多少規制を受けたことにより、環境が変化した結果、「電脳堺」デッキが第2の「ドライトロン」枠としてヘイトを集める可能性は十分にありますし、そうなった際に禁止が行われる可能性はあります。
とはいえ、その場合は、世界大会予選のような公式のビッグイベントの開催と並行して競技目線の規制が行われることになると予想しているため、そういった大きなイベントの告知が一切成されていない現状、競技目線での規制は行われないはずなので、しばらくは環境で使用され続けるでしょう。
《抹殺の指名者》は何故規制されないのか
先手後手でカードパフォーマンスに大きなブレが発生するカードであることが最大の要因だと考えています。
《抹殺の指名者》は先手を100点とすると、後手では概ね10~30点程度しかバリューの出ない先攻展開特化カードです。
そのため、先攻有利ゲーを助長する、という観点で非常に不健全なカードですし、OCGでは各実績が評価されて今では制限カードとなっています。
しかし、これもマッチ戦を想定しての評価だというべきでしょう。
マッチ戦では各プレイヤーが交互に先攻を取る権利があり、先攻時のパフォーマンスを最大化することができますが、シングル戦ではそういった平等性はなく、《抹殺の指名者》を後手で抱えたまま負けることは損でしかありません。
こういった観点から、《抹殺の指名者》を3枚採用できるような高い展開力を持つデッキは、そう多くないと考えており、OCGでは《抹殺の指名者》を採用していたデッキでもその枠を各種「手札誘発」に割り当てている構築も多く見かけます。
あくまでもデッキ次第ですが、OCG環境ほどの不健全さはないカードだと認識しています。
虚無空間、王宮の勅命はいいんですか?
いいわけがないだろうが!というのが本音ですが、これらを残している運営の気持ちも一応考察してみましょう。
これらのカードは1枚でゲーム性を破壊するため、玄人が嫌うタイプの性質のカードであるといえます。
似た観点では《スキルドレイン》も同じようなカテゴリに入ると考えています。
これらのカードが共通して持つ性質として、ジャイアントキリングを成立させやすい、というものが挙げられます。
条件次第では発動するだけで一方的な虐殺が行われるため、お世辞にも健全なカードとは言い難いですが、初心者やカジュアルプレイヤーが、経験豊富なプレイヤーに勝てる機会を用意しておかなければ、大半のプレイヤーは定着してくれないでしょう。
そういう意味で、各種永続罠は、ある種の救済措置のような役割で残されているのではないかと思います。
本音を言うならば、禁止でいいと思います()
さいごに
冒頭にも述べた通り、いつかは書きたいと考えていた内容なので、ちょうどいいタイミングで出せてよかったです。
何か質問等ありましたら、スズタカの質問箱までお寄せください。
それでは皆さん、またお会いしましょう。